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最後の追跡(2016)レビュー — 干上がった西部で向き合う兄弟の計算 映画 ポスター

最後の追跡 (2016)

干上がった西部で向き合う兄弟の計算

★★★★★ ★★★★★ 4.0

by 10days1movie · 公開 2026-09-24

区分 映画
監督 デヴィッド・マッケンジー
出演 クリス・パイン, ベン・フォスター, ジェフ・ブリッジス, ギル・バーミンガム, マリン・アイルランド
公開 2016
ジャンル 西部, 犯罪, ドラマ
上映時間 103分

銀行強盗映画と聞くと思い浮かぶ絵がある。覆面をかぶった人物たち、けたたましい銃撃、カーチェイス。この映画はその絵をねじ曲げる。テキサスの空っぽの平原、シェールガス掘削施設が傷跡のように刻まれた荒れ地、店を閉めた商店が並ぶ小さな町。カメラはその風景をゆっくりと舐めながら、二人の兄弟がなぜ銀行を襲わざるをえなかったのかを先に見せる。犯罪の動機が風景の中にすでに刻まれているわけだ。

どんな映画か — 牧場を守るために銀行を襲う兄弟

トビー(クリス・パイン)とタナー(ベン・フォスター)は兄弟だ。母が遺した牧場が銀行への借金のせいで差し押さえ寸前に置かれ、トビーは二人の息子に借金のない土地を遺すために危険な計画を立てる。自分たちを締めつけたまさにその銀行のいくつもの支店を襲い、その金で銀行に借金を返して牧場を守ろうというのだ。弟を助ける兄タナーは前科者であり、衝動的で危険を楽しむ。二人の強盗行為を追うのは引退を控えたテキサス・レンジャーのマーカス(ジェフ・ブリッジス)と彼の相棒アルベルト(ギル・バーミンガム)だ。映画は逃げる兄弟と追跡する老いた保安官、双方を交互に映しながら結末へと進む。

乾いたテキサスの荒れ地を背景に向き合う二人の兄弟、最後の追跡のスチール

演出 — 干上がった風景に刻まれた犯罪の動機

デヴィッド・マッケンジーの演出は急がない。強盗の場面すら緊張より無力さが先に感じられるように撮る。町の人々が強盗より銀行をより憎んでいるという事実、食堂の従業員がチップとして受け取った強盗の金を決して差し出すまいとする事実。こうした細部が積み重なって、観客は誰が本当の略奪者なのかを問い直すことになる。2008年の金融危機以降に崩れたアメリカの田舎の情緒が画面の随所に染み込んでおり、映画はそれを説教せず、風景と台詞の間に流していく。

撮影は広い空と干上がった大地を一つのフレームに収めて人物を小さく見せる。巨大な環境の前で人間の計画がいかに危ういかを視覚的に語る手法だ。ニック・ケイヴとウォーレン・エリスが作った音楽はカントリーとブルースの質感をまとわせて荒涼さを一層深くする。後半の銃撃の場面は短いが重い。華やかなアクションではなく、取り返しのつかない選択が招いた結果としての暴力が提示されるからだ。

演技 — 滑らかさを消したクリス・パインの家長

クリス・パインはこれまでの滑らかなイメージを消し、口数の少ない疲れた家長を説得力をもって演じる。罪悪感と決意の間で揺れるトビーの内面が表情の小さな変化で伝わる。ベン・フォスターは兄タナーに危険な活気を吹き込む。いつ爆発するかわからない人物だが、弟への愛情だけは本物だという点が彼を単なる悪党にしない。二人の俳優の呼吸はこの映画の情緒的な中心だ。

ジェフ・ブリッジスは引退を控えた保安官マーカスをひょうきんに描き出す。相棒に向けた荒い冗談の中に孤独と恐れが隠れており、そのバランスがキャラクターを立体的にする。ギル・バーミンガムが演じるアルベルトとやり取りする対話は、笑いと寂しさを同時に与える。

古びたピックアップトラックの傍に並んで立つトビーとタナーの兄弟、最後の追跡のスチール

映画が語るもの — 誰が本当の略奪者なのか

この映画は善と悪を分けない。トビーの犯罪は明らかに過ちだが、彼をそこへ追いやった構造もまた正当ではない。銀行は採掘権で再び利益をかすめ取り、貧しい者たちは借金のくびきから抜け出せない。兄弟が盗んだ金が結局その銀行へ戻っていくという設定はほろ苦い皮肉だ。映画は誰を応援すべきか容易に語ってくれず、その曖昧さこそがこの作品が長く残る理由だ。

評価とレビュー

IMDbスコアは10点満点に7.6点だ。ロッテントマトの鮮度は97パーセントで批評家の支持が非常に高く、メタクリティックのスコアも100点満点に88点に達する。テイラー・シェリダンの脚本はアカデミー脚本賞の候補に挙がり、ジェフ・ブリッジスは助演男優賞の候補に指名された。作品賞の候補にも名を連ね、小規模の映画が批評家の幅広い評価を受けた事例となった。

車窓越しに何かを見つめる兄弟のうち一人のクローズアップ、最後の追跡のスチール

総評

華やかな事件も明快な教訓もないが、この映画は見終わった後しばらく噛みしめさせる。兄弟の愛と責任、そしてそれを悲劇へと追いやる時代の風景が堅固に噛み合っているからだ。ジャンルの外皮をまといながら社会の素肌をのぞき込む手腕が秀逸で、★4.0が惜しくない。

こんな方におすすめ

  • 善悪が明確でないグレーゾーンの物語が好きな方
  • 風景と情緒でメッセージを伝える抑制された演出を好む方
  • ジェフ・ブリッジスとクリス・パインの深みのある演技を見たい方

コメント

  1. …

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