ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 (2019)
真犯人を知っても最後まで見続けてしまうミステリー
by 10days1movie · 公開 2026-08-24
| 区分 | 映画 |
|---|---|
| 監督 | ライアン・ジョンソン |
| 出演 | ダニエル・クレイグ, アナ・デ・アルマス, クリス・エヴァンス |
| 公開 | 2019 |
| ジャンル | コメディ, 犯罪, ミステリー |
| 上映時間 | 131分 |
ミステリー映画の公式に従いながら、同時にその公式を覆す映画だ。映画の中盤ですでに重要な真実を明かしてしまい「さあ、この事実を知った上で残りを見て」という構成だが、その後の方がかえって面白い。評価★4.0。アガサ・クリスティースタイルの正統派ミステリーを現代的に再解釈した良作だ。
どんな映画か — 真犯人を早く見せる構成
85歳の誕生日の日に自室で首を切られた状態で発見された有名ミステリー小説家ハーラン・スロンビー。自殺に見えるが、私立探偵のブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は依頼を受けて遺族全員を尋問する。遺産を狙う家族全員が容疑者で、それぞれが嘘をついている。しかし映画は真犯人を思ったより早く見せながら、物語を完全に別の方向へと転換させる。

演出 — 公式をひっくり返すジャンルの遊戯
ライアン・ジョンソン監督はジャンルに対する深い理解の上でこの映画を作った。古い屋敷、変わり者の探偵、怪しい遺族という伝統的な設定を忠実に踏まえながら、物語の軸を予想外の方向へと移す。ブラックコメディとミステリーがバランスよく混合された演出が映画全体を通じて活気を維持させる。
演技 — 007をひっくり返したブノワ・ブラン
ダニエル・クレイグのブノワ・ブランは007と正反対だ。誇張された南部訛り、のんびりした態度、鋭い観察力。この人物をクレイグが演じるということ自体がすでにユーモアだ。アナ・デ・アルマスはこの映画の実質的な主人公で、嘘をつくと嘔吐する体質という設定を活用して緊張感と共感を同時に生む。クリス・エヴァンスはキャプテン・アメリカのイメージを意図的に裏切るキャラクターを楽しんで演じる。

映画が語るもの — 既得権の偽善
表面的にはミステリーの娯楽だが、映画は移民と元からいる家族の間の経済的対立、既得権の偽善を静かに貫いている。遺族がマルタを扱う方法、そして危機に陥ったときにその態度がどう変わるかがテーマを形成する。重くなく伝えられるが、考えさせるものはある。
評価とレビュー
IMDb評価は7.9点と高い。ロッテントマト新鮮度は97%でほぼ満場一致の絶賛を受けた映画だ。アカデミー賞脚本賞の候補にも挙がった。公開当時の興行にも成功し、続編「ガラスの玉座」へと続いた。批評家と観客どちらにも2019年最高の娯楽映画の一つとして挙げられた。

惜しい点
ミステリージャンルの特性上、2回目に見ると最初の緊張感は薄れる。続編「ガラスの玉座」を先に見ると、この映画の新鮮さがやや希薄になることがある。ブラックコメディの要素が一部の観客にはやや過剰に感じられることがある。ライアン・ジョンソンがジャンルの反転を大胆に駆使した結果、中盤以降の物語の緊張感が前半に比べてやや間延びする傾向がある。最初に面白く登場した容疑者たちが中盤以降に相対的に後景に退きながら、物語が一つの軸に集中する過程がやや惜しく感じられる。またクリス・エヴァンスのキャラクター、ランサムは最初に大きな印象を与えるが、その後は結末まで十分に活用されない感覚がある。続編に登場するより複雑なトリックと比べてこの映画の反転が単純に感じる観客もいる。
総評
ミステリージャンルの面白さを存分に楽しみながら、同時に賢い反転と社会的な視点まで体験できる映画だ。軽く始まって最後まで緊張を手放させない、よく作られたエンターテインメント映画の模範だ。この映画が成功した理由の一つは、観客を常に一歩先んじる構成のおかげだ。単純に犯人を隠す方法ではなく、ルール自体を変える方法でジャンルを扱う。マルタというキャラクターが探偵ではなく容疑者の位置から物語を率いる選択も新鮮だ。アガサ・クリスティースタイルのミステリーで探偵の視点ではなく別の視点から物語を進めるということが、いかに多くの可能性を開くかを示した作品だ。軽く楽しいが、見終わった後にかなり長く考えさせるものが残る。
こんな方におすすめ
- アガサ・クリスティースタイルのミステリーが好きな方
- 予想を覆す反転のある映画を求めている方
- ダニエル・クレイグの意外な姿が気になる方
コメント