ローガン (2017)
スーパーヒーロー映画がこれほど悲しくなれるとは
by 10days1movie · 公開 2026-06-22
| 区分 | 映画 |
|---|---|
| 監督 | ジェームズ・マンゴールド |
| 出演 | ヒュー・ジャックマン, パトリック・スチュワート, ダフネ・キーン, ボイド・ホルブルック |
| 公開 | 2017 |
| ジャンル | アクション, ドラマ, SF |
| 上映時間 | 137分 |
スーパーヒーロー映画を見ながら涙が出るとは思っていなかった。「ローガン」はその予想を覆した。老いて疲れ果てたウルヴァリンの物語は、華やかな戦闘シーンよりも古びたピックアップトラックの中で交わす会話の方が記憶に残る。ジェームズ・マンゴールドはマーベルコミックスの英雄を人間ドラマの主人公として作ることに成功した。評価は★4.5。スーパーヒーロー映画が好きでなくても見られる映画だ。
どんな映画か — 老いて疲れたウルヴァリン
2029年、もはや新しいミュータントが生まれない未来。老いて再生能力が退化したローガン(ヒュー・ジャックマン)はテキサス・メキシコの国境近くで、チャールズ教授(パトリック・スチュワート)を守りながら静かに生きている。そんな中、自分のDNAから作られたミュータントの少女ローラ(ダフネ・キーン)と出会い、彼女を安全な場所へ連れて行ってほしいという依頼を受ける。漫画の原作「オールドマン・ローガン」からインスピレーションを受けており、Rレーティングで制作された。

演出 — 西部劇で作ったヒーロー映画
ジェームズ・マンゴールドはこの映画を西部劇の文法で作った。荒涼としたテキサスの砂漠、古びた自動車、少数の人物が広大な空間を通過していく物語の構造がクリント・イーストウッドの西部劇を連想させる。画面の中で英雄のアクションより、疲れた体で耐えていく日常の方がより多くの比重を占める。Rレーティングのおかげで暴力の結果が直接的に表現され、それがこの映画を従来のマーベル映画と異なるものにする。
特にチャールズ教授とローガンが普通の家族の夕食に座るシーンが記憶に残る。そのひとときの平和がなぜ一時的なものかを知っているから、よりせつない。
演技 — 17年を凝縮したヒュー・ジャックマン
ヒュー・ジャックマンは17年越しの最後のウルヴァリンとして、キャラクターの歴史全体を集約した演技を見せる。疲労、自己嫌悪、小さな希望の感情が入り混じる。パトリック・スチュワートは老化で制御力を失っていくチャールズ教授を凄絶に表現する。非常に強かった人間が弱くなっていく姿を淡々と見せる演技だ。ダフネ・キーンは台詞なしで体でローラを表現した前半と、感情を爆発させる後半の両方で印象的だ。

映画が語るもの — 父と娘の物語
「ローガン」は結局、父と娘の物語だ。ローガンは子供を望まず守られる資格もないと思っているが、ローラはその壁を崩す。映画が西部劇の枠を借りた理由はこの関係のためだ。老いたガンマンと幼い同行者、西部劇で何度も繰り返されたこの構造が、ここで最も感情的に機能する。結末でローラがする行動は、この映画のすべてを凝縮している。スーパーヒーロー映画のクリシェを徹底的に捻りながらも、そのジャンルが与えられる感情の核心には忠実だという点が「ローガン」を単純な「暗いヒーロー映画」と区別する。
評価とレビュー
IMDb評価は8.1でX-MENシリーズ全体の中で最も高い。ロッテントマト新鮮度は93%だ。アカデミー賞脚色賞候補に挙がったことは、スーパーヒーロー映画としては非常に異例のことだった。この作品がスーパーヒーロー映画が到達できるドラマ的深みの基準を高めたという評価を受けている。

惜しい点
中盤の悪役の動機と計画がやや単純だという点が惜しい。この映画の強みが感情ドラマにあるため比較的小さな問題だが、アクションシーケンスの密度が均一でない。またこれまでのX-MENシリーズを知って見るとローガンとチャールズの関係がより豊かに感じられるため、シリーズの文脈をある程度知って見ることが助けになる。
総評
「ローガン」はスーパーヒーロー映画の枠を纏っているが、その中で本当の物語を語った。老いと消滅、責任と保護、人生の終わりを意味深く締めくくることについての物語だ。マーベルの世界観を知らなくても、良いドラマを求める観客なら十分に感動できる。★4.5。
こんな方におすすめ
- スーパーヒーロー映画より人間ドラマを求めている方
- ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンシリーズを締めくくりたい方
- 西部劇的な感性のロードムービーが好きな方
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